広報100箇条

広報実務にヒントとなるノウハウを紹介していきます。 広報力向上に少しでも寄与できれば幸いです。

基本

報道の確度を上げる2つの契機

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広報素材には必ず旬がある。報道に値するか否か、どれだけの紙面や時間を割くに値するかという価値は常に変動している。情報鮮度を保つ時期は、1日程度のものや数カ月などと案件によりさまざまである。どんなにニュース素材の価値があったとしても、この旬を逃してしまうと、報道する機会を逸してしまう。情報発信をする場合は、常に情報価値の旬を意識し、一番価値の高い時に発信しなければならない。ではどういう点に配慮すれば良いのか。

配慮すべき契機は2つある。第一は発信者側の契機であり、リリースなどを出す場合は、物事決まった時点、起こった時点が最大の発信の契機と比較的解り易い。しかし個別取材となると話が変わってくる。例えば社長取材の場合、新社長であればニュース価値が増す。しかし新社長という切り口が使えるのも、せいぜい半年である。つまり個別取材などは、あらゆる広報素材や切り口の合わせ技でニュース性向上を図るため、それぞれの旬の契機を見極めそれら合算値が最大の時に発信しなければならない。

また報道価値は何もプラスだけではない。不祥事などの場合は、発生した時点から時間を追うたびに情報価値のみならず、企業価値が下がっていく。遅くなればなるほど、出さなければならない情報を出さないほど企業価値は低下していく。どの時点で何をしなければならないのかを見極める必要がある。

そして契機はもうひとつあり、それはメディア側の契機である。記者が一番書きたい、書き易い時がそれであり、記者がどの様な認識でいるのかを察知しておく必要がある。また物理的なことを言えば、土日に紙面を持たないメディアに金曜日に配布しても書けない、他社の輪転機を借りている専門紙に夕方情報提供しても翌日には間に合わないと言う契機だ。

これら二つの契機を常に意識することが重要である。

広報99箇条 「発信と報道」の 2つの契機を意識せよ

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露出には理由が必要

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広報担当者は、少しでも確実に、少しでも多く報道を勝ち取るために、ニュース性を向上させようと日々努力しているだろう。勿論その努力は必要であるが、目先を変えて“何故メディアは報道するのか”という記者の目線で広報素材を検証することも必要である。

例えばプレゼントパブリシティ(略称:プレパブ)という広報手法がある。新聞や雑誌などにあるプレゼントコーナーに、自社の商品やノベルティグッズを無償で提供する代わりに、掲載してもらうというものだ。お金を払い枠を買う訳ではないため、掲載するか否かは記者の判断に委ねることになる。

発信者側の理屈からすると、お金ではないがモノを提供している、高価なものをだしているのだから掲載されて当たり前と思うのだが、数多く集まれば当然のことながら記者は取捨選択をしなければならない。そこで選ばれるモノは、記者(媒体として)が掲載し易いものが選ばれる訳だ。では記者はどういう基準で判断しているのだろうか。

大前提は、読者層にマッチしているか否か。高価なものであっても読者層にそぐわなければ見送られる。そして“今”掲載する理由があるか否かである。例えばこの時期“インフルエンザ対策グッズ”は掲載し易いし、2-3月であれば新生活応援グッズも特集を組むし、出し易い。当然制作リードタイムを考慮したタイミングでリリースは出さなければならない。モノなどが良くても、時期がギリギリの場合、読者からクレームがくる懸念があれば掲載を見送る。またキャンペーンや企業活動の延長にあるものであれば尚更掲載し易くなる。

要は、如何にモノが良いかを訴求するだけでなく、記者側の立場になって考えることが必要であるということ。記者が社内で、“何故これを掲載したのか”をきっちりと説明できる様に仕立てていくことが重要である。

広報95箇条 報道側の立場から広報素材を検証せよ

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広報に理解のない人の口説き方

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広報業務は経営の一環であると言いつつ、広報に理解がない部長や役員、はたまた社長まで存在するのが現状。広報部門としては、トップダウンで進めたい案件があったとしても、どうしてもこれらの人たちが業務を推進していく上での障害となる。ではどの様にして口説くのが良いのか。

上役が広報に理解を示さない理由を3つ挙げる。まず第1に挙げられるのは、記事は広告に比べインパクトが低く、本当に効果があるのかという疑問である。この誤解を解くためには、継続的に効果的な記事を出していくことは言うまでもないが、最近の記事を集めてクリッピング集という販促ツールとして渡してみることだ。自身で商品の効果を謳うよりメディアの評価の方が、よほど訴求力があることが理解できるはずだ。

次に広報機能のメリットを余り理解していないということだ。一般的に広報の受信と言う機能は余り重要視されていない。そのため競合他社の情報を集め、理解の乏しい人たちに情報提供することで広報の有難みが解る筈だ。加えて競合他社との比較なども行い、経営の中での広報戦略の重要性を訴求する、また強化せざるを得ない雰囲気を作っていくことが必要である。但し、競合に比べ完全に見劣りしているため、“何をやっているんだ”と叱責を喰らって終わりと言うことがない様に表現方法は配慮した方が良いだろう。

そして最後は、過去に取材対応で失敗している経験があると言うことだ。過去に対応した取材で、“思った通りの記事が出なかった”、“悪く書かれた”などという経験があった場合、メディアに対する恐怖心から広報活動に積極的になれないという例が多々ある。これを改善するには、その上役の得意分野のポジティブ案件で取材を取ってしまうことだ。本人、記者とも事前十分な打合せを行い、記者から是非取材をという話し方が良いだろう。その際、上役の専門分野の専門紙誌を活用するのが効果的だ。取材対応の成功により、不安感が払しょくされ、その後広報に対し積極的になったと言う例は少なくはない。

広報93箇条 理解のない人には、広報での成功体験を

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具体策より大事なもの

先の総選挙で掲げられたマニフェストは、正に具体策のオンパレード。具体策を打ち出すのは確かにインパクトがある。しかし実行実現を考えた際、具体策を打ち出すにはタイミングなどを十分に議論した上で行わなければ逆効果な場合もある。それはどういうことか。

いくつかの報道によると、政権交代を果たした総選挙から1カ月近く経つ現在、民主党内ではマニフェストの内容如何について今更議論をしている様だ。これは簡単な話であり、マニフェストを打ち出す前に、本来の目的や現状認識に関し十分な議論がなされていなかった証拠である。それが露呈してしまうと、当然のことながら折角打ち出した具体策も“見せ掛けだけ”と取られ、信用問題にかかわる。十分議論し尽くした結果という見せ方も重要となる。

広報業務でよくあるのは、“社長の思い付きの鶴の一声”である。うちは酷い客先でよく耳にするが、これは間違いなく広報担当者の共通の悩みではないかと言える。大事なのは社長の声として発信するのではなく、如何に理由付けをするか、背景を説明するかだ。その作業をすることで、信憑性もさることながら効果も違ってくる。

また会社案内などの制作物を作る際にも重要な手順がある。担当者としては当然のことながら内容についての承認をとる必要がある訳だが、ポイントは具体策であるビジュアルは最後まで見せないということだ。その制作物の目的や、自社の置かれている立場、目指す方向性、デザインの方向性などをテキストベースで十分議論を重ねることが重要である。この時点で合意が出来ていれば、実際にビジュアルを出した時点での修正は最低限に抑えられる。最初に十分な説明なくビジュアルを見せてしまうと、個人の趣味趣向で指摘され仕事が前に進まない。

インパクトは確かに重要であるが、掛けをしたくなければ十分な内容の議論に注力すべきであろう。

広報91箇条 具体策より考え方の浸透を

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ポジティブな広報は誰でもできる

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良いポジティブな広報素材を如何に発信し、効果的な報道を勝ち取るかには、やはり広報担当者の経験、知識やテクニックなどのスキルの差がどうしても出てくる。では広報担当者は、如何に効果的な報道を勝ち取ることに注力すれば良いのだろうか。

好景気の場合、商品サービスのサイクルは早いため発信する機会が多い。また業績も良いことから、上方修正などの前向きな内容のものも多くなる。この様なポジティブな発信であっても前述の通りスキルの差が出る訳ではあるが、報道件数に差が出る、或いは報道内容がインパクトに欠けるなど内容面などにも差が出る程度である。最も差が出るのは、これらと逆の環境での広報対応である。

不景気になると商品開発のサイクルが鈍り、必然的に情報発信の機会が減る。また業績が宜しくない時には、積極的に個別取材をとっていこうとはなかなか思われない。情報発信を、メディアとのコンタクトを控えるということは、当然のことながら露出量が減るが、勝手に書かれても致し方ないということでもある。各社の情報量が減ると、記者は業界まとめ記事を書く。その際に現実とは違った不利な報道をされるリスクがあることは念頭に置く必要がある。

また重要なのが有事の際の対応である。不祥事などの広報対応の如何により、これまで何十年と気付き上げてきたブランドを失墜させる、或いは企業の事業継続自体が危ぶまれることも多くはない。

最近、業績低迷=広報活動凍結という間違った考えを聞くことは少なくない。しかし前述の通り、発信しないことは存在しないことと同義であり、広報担当者の腕の見せ所と認識し、少なくともメディアコンタクト量は維持してもらいたいものだ。

広報90箇条 不景気、不祥事が広報の見せ所と心せよ

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