広報100箇条

広報実務にヒントとなるノウハウを紹介していきます。 広報力向上に少しでも寄与できれば幸いです。

危機管理

記者に誤報を書かせるな

ブログネタ
広報 に参加中!
誤報は文字通り誤った報道であり、あってはならないことである。しかし部分的に確証が取れず憶測の域で書く“飛ばし記事”や、最近では“やらせ”や“ねつ造”など、メディア側が敢えて報じる誤報もある。一見誤報の責任は完全にメディア側にあると思われがちであるが、その殆どがコミュニケーション不足によるもので、半分は発信者側にも責任はあるのではないだろうか。特に新人記者の場合、当然のことながら経験が浅い故の間違いがあり、また新任記者も業界専門用語などを理解しているわけではないので注意が必要だ。
では実際に誤報があった際にはどの様な対応が必要なのだろうか。

誤報に対する対応は、そのレベルによりさまざまである。まず重要なのは、記者を一方的に責める前に、発信者側に資料不備や説明不足などの落ち度がなかったかを確認することだろう。またその誤報が与える影響がどれ程のものかを確認する必要がある。
では影響度合い別に対応法を下記する。

○影響度小規模
・2次波及もあるため記者へ再度説明を行う
・データベースの訂正を依頼する
・影響のない程度の誤字であれば、メール連絡でも良い

○影響中規模
・追加取材などで切り口を変えて記事を書いてもらう
・全く別のネタでの記事化を図る(比較的大きな記事となる)
・訂正記事を書いてもらう(記事としては余り格好の良いものではない)

○影響度大
・誤報と同等のスペースで誤報であった旨の記事を出してもらう(検証報道)
・抗議文や要望書を出す(ケースにより提出先を変える)
・誤報の旨のリリースを配信する(自社webにも掲載)
・緊急記者会見を行う
・法的処置をとる

実際に直面する誤報は、その殆どが小中規模である。例え訂正記事を書いてもらったところで格好の良いものではない。余り騒ぎ立てて記者を追い込むよりは、実利を選んだ方が得策ではないだろうか。

広報82箇条 目先の訂正よりも実利を選ぶべし


クリックをお願いします。
にほんブログ村 経営ブログ 広報・IRへ

草なぎ剛氏にみる危機管理広報

ブログネタ
広報 に参加中!
2009年4月23日未明、赤坂の公園で酔っ払いが騒いでいると近所の住民から通報を受け、SMAPの草なぎ剛氏が現行犯逮捕された。今回の一連の事件に関しては、ネット上でも賛否両論、連日賑わっていた。ここで一連の逮捕劇について検証しようというのではない。単に広報的な視点で見た場合に、参考になればとの思いである。

まず第一点。誰しも酒を飲めば酔っぱらう。前夜深酒をして無事帰宅したものの、どうやって帰宅したか記憶にないという経験はないだろうか。ましてや20代、30代という若い頃であれば、その様な記憶もあるだろう。問題なのは、なぜ誰しも起こりそうな事象なのに、ここまで騒がれたかだ。一番大きな要因は、当事者が人気アイドルグループであるSMAPの草なぎ剛氏であったからであろう。他の要因についてはここでは話がそれるため割愛する。大事なのは、誰しもあるようなことでも注目度が高ければ、ここまで連日マスコミのみならず、ブログ等のネットでも騒がれてしまうということだ。別に有名でない企業は安心して良いということではないが、上場企業や大手○社と呼ばれる企業は特に些細なことでも注意を払う必要があるということだ。

次に言えるのは、論調の傾向だ。確かに無責任な行動との批判もあった。逮捕されたのだから当然であろうが、にもかかわらず擁護発言が目立ったことだ。これは日頃の心掛けと言わないまでも、印象が影響したと言える。やはり危機管理広報が重要という風潮があるが、大事なのは普段からの姿勢であると言える。

そして一番印象深かったのが謝罪会見である。釈放された日に、謝罪会見を行っていることも評価の1つであるが、弁護士同伴の会見にもかかわらず、常習性など不利になるような内容であっても、自分の言葉で誠意をもって対応し、謝罪したことが印象的であった。

ただ残念だったのは、所属事務所の報道規制である。テレビの生中継や、インターネットなどでの映像や画像使用のNGを出したようだ。マイナスの情報を出したくない気持ちも解らなくはないが、隠す、抑えようとするとメディアはその逆をいく。広報の対応如何によっては、事実に関わらず論調さえも簡単に変わってしまうことを心に留めておく必要がある。

広報34箇条 有事の際は誠意ある対応が基本

にほんブログ村 経営ブログ 広報・IRへ

あなたの会社に壁はありますか?

ブログネタ
広報 に参加中!
あくまでも一般論であるが、会社や組織にはさまざまな“壁”が存在する。適度な緊張感やライバル意識の醸成につながる“壁”はあって然るべきだろう。しかし、上司と部下、経営層と従業員などの指揮命令系統上、或いは本社と支社、開発生産部門と販売部門などの部門間上での“壁”は、経営効率という観点でも弊害となる。大きな組織となれば、これに学閥や派閥というものが加わってくる。この“壁”をなくすことはある種理想論に近く、無駄に近い努力かもしれないが、コミュニケーション上の壁はあってはならない。しかしそれを唯一砕ける、砕かなくてはならないのが広報担当者である。

では広報活動の上で“壁は”どの様なところに影響してくるのか。大別して2つあると言える。ひとつは、情報が取れ難いことにより、埋没するニュース素材を発掘できないこと。これによりリリース発表案件が減ることで報道件数が減る、或いは個別取材時の付加価値情報が減ることで報道内容の“質”が上げられないと言うことであり、これは企業価値向上と言う観点での大きな損失と言えるだろう。

そしてもうひとつは、有事の際の対応である。有事の際の広報対応では、事実確認、原因究明、再発防止、結果検証という情報が重要となるが、同様に重要視すべきなのが“タイミング”である。いかに本社から離れた工場や地区販売店でその有事が起ころうが、マスコミは「広報なら当然知っている筈」と言う前提で質問をしてくる。故意でなくとも状況把握や公表が遅れてしまうと、周囲からは“隠ぺい工作”と取られかねない。もしそう報じられてしまったのなら、企業価値云々の次元の話しではなくなる。

広報担当者は、社内の至るところに出没できるという特権がある。しかしその担当者が日頃から役職や部門を越えたコミュニケーションをとらない場合、それは潜在するリスク要因を放置していると言っても過言ではないだろう。

広報24箇条 広報に“壁”はあってはならない

クリックをお願いします。
にほんブログ村 経営ブログ 広報・IRへ

ジャパネットたかたに学ぶ危機管理広報

ブログネタ
広報 に参加中!
通販を利用したことがない方でも、“金利手数料はジャパネット負担”というあの名文句を聞いたことがない人は少ないのではないだろうか。長崎県佐世保市に本社を置く株式会社ジャパネットたかたは、2006年度に長崎県初の1000億円企業となった。しかし、同社はこれまで順風満帆に右肩上がりの成長を続けていた訳ではない。B2C企業にはあってはならない個人情報の漏洩を起こしていた。

2004年3月初旬、毎日新聞から149名分のリストに関する問い合わせがあった。その内容は、「氏名」「性別」「住所」「電話番号」「生年月日」「年齢」からなる個人情報であり、個人情報の管理が余り注目されていない1998年(6年前)の情報であった。クレジットカードなどの情報は含まれていない。社内調査を行った上で、3月9日火曜日に個人情報の漏洩を公表し、各紙は同日の夕刊でその内容を一斉に報じた。

発表後すぐに社内調査委員会、セキュリティ委員会を組織したが、これは当たり前の対応として、同社の特徴的な対応を下記する。

・3/9の公表と同時に、真相解明を優先させるために通販事業を自粛
(少なくとも3月中は自粛と公表 実際の営業再開は4/25)
・少なくとも149名が漏洩、可能性が高いユーザーでも30万人、最大で66万人の
 可能性も否定できないと公表
・警察の立件では、40万人分だが、独自調査で51万人分と発表
・マイナス報道を週末ではなく火曜日、しかも朝に公表(地方紙が夕刊で報道)
・3/9〜3/12は毎日、その後は1週間ごとに謝罪と経過報告を公表

後に代表取締役社長である高田明氏は、ある取材でこう語っている。(抜粋)
私は夢を語っている一方で、非常に大事な顧客の情報が流出していることがわかった時に、どうして私が言葉を上手く言って商品を販売することができますか。自粛しかない、何も迷いはなかった。もう一回ゼロから頑張り直すことによって、私の思いも含めて社員の思いも全国の皆さんに伝えることが出来ればなんとか乗り越えられるのではないかと、そのときはそこしか考えていませんでした。

同社の1ヵ月半での減収は150億円だったそうだが、営業再開してからはこれまで通り順調に売り上げを伸ばせたという。驚くことに、危機管理マニュアルやリスクマネジメントの専門家などのアドバイスは受けずに、対応は全て社長が考え指示したということだ。
有事の際に必要なのは、テクニックなどではなく、“顧客に誠実な対応”ではないだろうか。

広報21箇条 隠すことが守ることではない

クリックをお願いします。
にほんブログ村 経営ブログ 広報・IRへ

「危機管理広報が重要」という発想はリスク!

ブログネタ
広報 に参加中!
私どもがお客さまとお話をさせていただく際、危機管理広報に妙に関心をもたれる方が多い。大学業界は特にその傾向が強いのではないだろうか。最近は大麻や事件事故に巻き込まれるケースが増えているから致し方ないことかも知れない。しかし広報業務の他の部分をおいて危機管理対応が最重要という発想は、何か有事の際に「表面を取り繕いたい」という様に感じてしまう。

私が新規のお客さまに対し非常に気になることに、その会社や代表者の「情報開示に対する考え方」がある。有事の際、そのリスクを最小限に抑えるには、誠実な対応(TPOをわきまえ、出せる情報は出す)にあると言える。しかし、表面的に取り繕いたいばかりに、「言えない、言いたくない」や「結論を出すのに時間をかけ過ぎる」となってしまうと、その会社に対する理解が得られないばかりか、必要以上に尾を引いてしまい、多大なる損害を被ることになりかねない。広報業務のリスク分析をする際、私は必ず代表者やその会社の情報開示に対する考え方、実情を伺っている。そのもの自体がリスク要因になりうるからだ。

有事の際、情報を出すのは当たり前として、そのタイミングが非常に重要となる。担当者が非常に努力して集めた結果であっても、遅ければそれは「隠蔽疑惑」ととられる可能性もある。有事の際は、第三者的な見解やテクニックなど必要であろうから、その際は外部のPR会社などに依頼すれば良い。しかし、その時点になってから情報を集めてみたところで遅すぎるのである。常日頃から情報の風通しを良くすることが、一番危機管理広報に必要なことではないだろうか。

広報6箇条:有事の際に向けて、社内(学内)広報を強化せよ!

クリックをお願いします。
にほんブログ村 経営ブログ 広報・IRへ