先の総選挙で掲げられたマニフェストは、正に具体策のオンパレード。具体策を打ち出すのは確かにインパクトがある。しかし実行実現を考えた際、具体策を打ち出すにはタイミングなどを十分に議論した上で行わなければ逆効果な場合もある。それはどういうことか。

いくつかの報道によると、政権交代を果たした総選挙から1カ月近く経つ現在、民主党内ではマニフェストの内容如何について今更議論をしている様だ。これは簡単な話であり、マニフェストを打ち出す前に、本来の目的や現状認識に関し十分な議論がなされていなかった証拠である。それが露呈してしまうと、当然のことながら折角打ち出した具体策も“見せ掛けだけ”と取られ、信用問題にかかわる。十分議論し尽くした結果という見せ方も重要となる。

広報業務でよくあるのは、“社長の思い付きの鶴の一声”である。うちは酷い客先でよく耳にするが、これは間違いなく広報担当者の共通の悩みではないかと言える。大事なのは社長の声として発信するのではなく、如何に理由付けをするか、背景を説明するかだ。その作業をすることで、信憑性もさることながら効果も違ってくる。

また会社案内などの制作物を作る際にも重要な手順がある。担当者としては当然のことながら内容についての承認をとる必要がある訳だが、ポイントは具体策であるビジュアルは最後まで見せないということだ。その制作物の目的や、自社の置かれている立場、目指す方向性、デザインの方向性などをテキストベースで十分議論を重ねることが重要である。この時点で合意が出来ていれば、実際にビジュアルを出した時点での修正は最低限に抑えられる。最初に十分な説明なくビジュアルを見せてしまうと、個人の趣味趣向で指摘され仕事が前に進まない。

インパクトは確かに重要であるが、掛けをしたくなければ十分な内容の議論に注力すべきであろう。

広報91箇条 具体策より考え方の浸透を

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