広報100箇条

広報実務にヒントとなるノウハウを紹介していきます。 広報力向上に少しでも寄与できれば幸いです。

第一広報パートナーズ

ジャパネットたかたに学ぶ危機管理広報

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通販を利用したことがない方でも、“金利手数料はジャパネット負担”というあの名文句を聞いたことがない人は少ないのではないだろうか。長崎県佐世保市に本社を置く株式会社ジャパネットたかたは、2006年度に長崎県初の1000億円企業となった。しかし、同社はこれまで順風満帆に右肩上がりの成長を続けていた訳ではない。B2C企業にはあってはならない個人情報の漏洩を起こしていた。

2004年3月初旬、毎日新聞から149名分のリストに関する問い合わせがあった。その内容は、「氏名」「性別」「住所」「電話番号」「生年月日」「年齢」からなる個人情報であり、個人情報の管理が余り注目されていない1998年(6年前)の情報であった。クレジットカードなどの情報は含まれていない。社内調査を行った上で、3月9日火曜日に個人情報の漏洩を公表し、各紙は同日の夕刊でその内容を一斉に報じた。

発表後すぐに社内調査委員会、セキュリティ委員会を組織したが、これは当たり前の対応として、同社の特徴的な対応を下記する。

・3/9の公表と同時に、真相解明を優先させるために通販事業を自粛
(少なくとも3月中は自粛と公表 実際の営業再開は4/25)
・少なくとも149名が漏洩、可能性が高いユーザーでも30万人、最大で66万人の
 可能性も否定できないと公表
・警察の立件では、40万人分だが、独自調査で51万人分と発表
・マイナス報道を週末ではなく火曜日、しかも朝に公表(地方紙が夕刊で報道)
・3/9〜3/12は毎日、その後は1週間ごとに謝罪と経過報告を公表

後に代表取締役社長である高田明氏は、ある取材でこう語っている。(抜粋)
私は夢を語っている一方で、非常に大事な顧客の情報が流出していることがわかった時に、どうして私が言葉を上手く言って商品を販売することができますか。自粛しかない、何も迷いはなかった。もう一回ゼロから頑張り直すことによって、私の思いも含めて社員の思いも全国の皆さんに伝えることが出来ればなんとか乗り越えられるのではないかと、そのときはそこしか考えていませんでした。

同社の1ヵ月半での減収は150億円だったそうだが、営業再開してからはこれまで通り順調に売り上げを伸ばせたという。驚くことに、危機管理マニュアルやリスクマネジメントの専門家などのアドバイスは受けずに、対応は全て社長が考え指示したということだ。
有事の際に必要なのは、テクニックなどではなく、“顧客に誠実な対応”ではないだろうか。

広報21箇条 隠すことが守ることではない

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敵を知る

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報道件数を上げたいが社内や学内を見廻しても広報素材が出てこない。広報担当者であれば誰しも思うことだろう。その場合、外に目を向けると意外と簡単に見つかる場合がある。また広報担当者の自然な心理として、競合(ライバル)よりも良い報道を勝ち取りたいということがある。これら両者に効果的な手法が、「競合の露出分析」である。

露出分析と言っても記事を1つ1つ読む必要は無い。見出しや推測である程度判断でき得るため、日経テレコン21などの記事の見出し検索システムを活用すれば簡易分析は十分できる。下記の3点をみれば、大体の広報力は判断できる。

まずは露出量。過去3年間にどれだけのボリュームの記事が掲載されたのかを半期毎に時系列で見ると良い。半年で区切ると当然のことながら露出量にバラツキがでる。しかしある一定量の露出を確保しながらバラツキが少ない場合、露出量の平準化、安定化にむけた取り組みをしている可能性がある。広報力が備わっていると推測でき得る。新製品情報だけでは、当然のことながらバラツキが出るが、露出量が安定しているということは、その他の取り組みなども情報発信している可能性が高いということだ。その様な会社は充分に参考になるだろう。

続いては、露出された媒体別である。訴求対象者を網羅する様に露出されているかという観点でみると、意外と自身では付き合いのない専門紙誌で効果的に露出している場合がある。競合で露出可能であれば、当然自身の露出も可能であり、ターゲット媒体とすれば良いだろう。また5大紙によく報道されているが、産業経済紙などは殆ど掲載されていない場合などが多い。この場合、5大紙には決算数値や人事欄のみであることが多いので、中身を確認することは必須である。見出しで充分判断できるので、分けて考えるべきであろう。

最後に内容別である。自社の新商品、新サービスの他に、決算、人事関連は当然の事として、TOPインタビュー、事業戦略、企業自体としての取り組みなど、カテゴリ毎に分析してみると良い。競合の広報力が解るだけでなく、参考にできる切り口なども多いはずだ。

情報収集も広報の重要なミッションであり、経営層へのフィードバックもさることながら、広報担当者のスキルアップにも非常に効果がある。一度自身のためにもチャレンジしてみてはどうだろうか。

広報19箇条 競合の露出状況を分析せよ!

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「1社に情報を流したらリーク」は大間違い

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広報ではリークという発表手法があるが、皆さんはどの様な認識をされているだろうか。そもそもリークとは、記者会見やリリースの一斉配布などの一般的な発表方法ではなく、特定の1媒体だけに発表することと認識されているであろう。しかし、これでは正しい認識とは言えない。より詳しく言うと、本来記者会見やリリースによる一斉配布をしなければならない広報案件を、特定の1媒体だけに限定して発表することである。

つまり、リークをするには一定以上の“ニュース性”がなければ成立しないのである。またリークをしたから報道されるのが当たり前、また報道されることは当然であり、扱いが大きくなければ記者の力不足と認識されている方も多いようだが、本当にリークに値するニュース性があったのかどうかは事前に要検討である。決して報道されなかったからといって、記者に食ってかかるのは大間違いである。

また安易にリークという言葉を使われる方がいる。しかしこれはあまり望ましいことではない。本来、特に上場企業であればなおさらだが、フェアディスクローズという考え方があり、文字通り公平公正な報道をしなければならない。しかし、リークをした方が効果的、あるいは状況によってはリークをせざるを得ない場合もあり、結果的にその手法を選択するのだが、リークをすることは何もメリットだけではない。競合媒体へのマイナス影響というデメリットがあることを忘れてはならない。下手をすれば、マイナス報道の尾を引くこともあり、慎重に行うべき手法である。リークという言葉を広報担当者が日常的に使うことでのリークに対する意識の低下を懸念する。私は日常的に使う場合には、「1社レク」という言葉をお勧めしている。
(本当の意味でのリークに値する案件は、さほどないという意味もある。)

リークをするにも見せ方があり、対外的には、「特定1社に情報を流して報道させた」という認識ではなく、「特定1社に抜かれた」というように思わせることが重要である。

広報18箇条 リークは事前検証のうえ慎重に!

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想定Q&Aは何故必要か

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誰しも記者説明会や記者会見を行う際、必ずリリースや説明資料と共に想定Q&Aを作成するであろう。想定Q&Aの作成は、発表案件によっては、特に相手先などが加わるときなどは、リリース作成よりも非常に苦労する厄介なものであり、且つ記者は想定どおりに質問してくれず、その苦労がなかなか報われないという代物である。そのためか、リリース配布のみの場合、全て自分が対応する場合には作成の必要はないと思われている人もいるであろう。

では想定Q&Aの役割とはなんであろうか?

私はその役割として、大別して3点あると考えている。まず文字通りであるが、質問を想定しておき、質問された際にスムーズに答えられるよう、数値や事実、方向性などを確認しておくということである。これについて異議はないであろう。

では2つ目の役割としては、「リリースの精度向上」である。想定質問を考える際、リリースを読み返し質問を作成していることと思う。その際、すぐに出てくる質問、誰が見ても疑問に思う質問はないだろうか。直に出てくる質問は、言える、言えないという問題はあるだろうが、基本的にリリースの中に織り込むべきである。それをしなければ、質問してくれる記者は良いが、質問しなければ記事が書けないという事で、後回しにされる可能性もある。最低限、記事が書ける情報は盛り込んでおくべきであろう。

最後の役割としては、「口頭で説明することを明確にすること」である。基本的にリリースは、起こったことの事実、決定したことの事実などを淡々と書くだけのものであり、その裏に隠れた想いや狙い、背景などをダラダラ書くものではない。リリースには書けない伝えたいことを明確にし、質問時に効果的に答えることに加え、聞かれなくても話しの中に織り込んでいく、或いは個別の媒体のみにその情報を付加するという手法もある。媒体特性を考え、情報を振り分けていくことも効果的であろう。その準備としてもQ&Aの作成は非常に重要であり、面倒でも手を抜かずに行っておきたい重要な作業のひとつと言えよう。

広報10箇条 どんなリリースでも作成と同時にQ&Aを作成せよ

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リリース配布。でもその前に

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ニュースリリースの配布は、広報活動の中でも重要なものと位置づけされている。発信者側は、できる限りの報道を獲得しようと多くのメディアリストを保有し、配布しているとことであろう。しかし、その配布数に対する報道の獲得(勝率)を考えたことがあるだろうか?

記者に会いに媒体社や記者クラブに出向くと、必ずといっていいほど記者の机は汚い、いや情報に埋もれている。多い時には日に何十通ものリリースが送られてくる様だ。しかし直に記事に書くのはほんの一握りで、残りは温めておき、ネタがないときにまとめ記事になどに使うこともあるが、やはり大半はゴミ箱に直行のようだ。紙の無駄としか言いようがない。

記者には、「これで何を書けと言うのだ」と言う不満がある。それには2つの要因があり、ひとつはニュース性不足、そしてもうひとつはその媒体で取り上げられない内容のものだ。ここで取り上げたいのは、後者である。

私は全ての送付先には、選定した理由がなければならないと考えている。是非書いて欲しい、できれば書いて欲しいなど、理由はさまざまであろうが、大前提なのは「その媒体で取り上げられることが出来ること」である。

過去に送ったことがあるから今回も送る、と言うような考え方はやめるべきだ。雑誌によっては広告などが殆どで、リリースなどを取り上げる隙間もないものが多い。実際にその媒体で、リリースから想定する記事がどの欄にどの様にとイメージできない媒体には送るべきではないだろう。よく「特価セール」「今がチャンス」などの広告FAXが届くが、何度も送り続けられると、その会社に良いイメージは抱かないことは明白である。

昨年末、65年続いた読売ウィークリーが休刊になった。今後も休廃刊や創刊など目まぐるしく変化していく可能性もある。編集長や担当者も同様だ。担当者の確認のみならず、少なくとも直近の発行媒体を熟読し、具体的に取り上げられる可能性のある媒体だけに送付するべきではないだろうか。

広報9箇条 リリース送付前に媒体研究せよ!

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